『ラストレター』を観た
映画の感想というのは、完全に主観によるものだと思っている。
私の感想は、私の感じ方によるものがすべて。誰かの感情も感覚もいらないはず。
……という言い訳のもと、岩井俊二監督の最新作『ラストレター』についてつづっていこうと思う。
岩井俊二が好きだ
岩井俊二という監督が好きだ。
日本で映画を撮っている人のなかで、好きなのはこの人だけ。この人の作品は貪るように摂取して、DVDなども手に入れられる範囲、とはなっているが購入できるものは購入している。
18歳のとき、上京する直前に『Love Letter』という映画を母が見せてくれた。それがきっかけとなり、私なりに岩井俊二作品と向き合ってきた。眩しさも、苦しさも、血がにじむような痛さも、とにかく全部が好き。ぼんやりとした明るいグレーの画面を観ているだけで、うっとりとしてしまう。
岩井俊二作品の色は、誰にも出せない。誰が侵してもいけない、聖域みたいに思えた。
でも、『ラストレター』を観終わったあと、そんな聖域には程遠いと悲しくなった。
回収されない伏線も、引きずりすぎた初恋の違和感もあっていい。でも、作品内での辻褄合わせが、あまりにも雑すぎる。
私は、岩井俊二が作りたかったものを観たかった。岩井俊二を好きな人が好きなものを観たかったわけじゃない。なんて、監督の気持ちなんて、消費者の私が知ることもできないのだけれど。
馴染まない光は必要か
岩井作品には、色がある。目がくらむような、明るい、透明感のあるグレーが基本。ぼんやりと光っていて、どんなシーンでも思わず目を細めてしまいそうな、懐かしい色だ。
今回、メインの役どころを務めたビッグネームは、福山雅治、松たか子、神木隆之介、広瀬すずである。私の役者の好き嫌いはさておき、岩井作品に馴染んでいるのは松たか子だけだと思った。この4人のなかで松たか子だけが、当然のようにあの映画のなかに存在していた。
メインを務められる役者、つまり集客ができる役者というのは、きっと私が思うよりも限られている。福山、神木、広瀬が悪い役者だとは思わない。映画を観ていて、巧いなぁとも思った。でも、流れていく時間のなかで、ずっと何かが引っかかってくることも事実だ。この3人は、たぶん私が想像する以上に彼ら自身の色が強い。そして、それが作品に溶け込むことはない。
表現者として、個性が強いことは悪いことではない。彼・彼女らの演技は、確かに映画に馴染む瞬間もあった。
しかし、これは映画だ。監督の作品であって、それに馴染まなければ異質のものだと認識される。少なくとも、私はそうだ。役者を見に行っているわけではない。
広瀬すずは輝いていた。まさしく、王道のヒロイン。でも、あまりにも光が強すぎる。これは、福山雅治も神木隆之介も同様だ。ナチュラルな演技は巧い。でも、それがこの映画に馴染んでいるかは、また別な話である。
こうなると、前作『リップヴァンウィンクルの花嫁』が懐かしくて、渇望してしまって仕方ない。黒木華をはじめとする役者全員の、作品への溶け込み具合が異常だった。岩井俊二作品という世界軸のなかで、当然のように、全員が生活していた。皆が少しずつ、弱くて不自然。それを体現していたのだ。
福山雅治も、神木隆之介も、広瀬すずも、それぞれの背負う色が、あまりにも強すぎた。そして、その色は岩井俊二作品の世界軸に溶け込むことは、ほぼない。外の世界の人間が入り込んだみたいだった。
しかし、松たか子、そして松たか子演じる、裕里の娘役、そして裕里の高校時代を演じた森七菜の眩しさは格別だ。広瀬すずのそれとは違う、岩井作品におけるヒロイン感が圧倒的だった。透明感というか、まだどんな色にも染められていない、これからに期待したくなる白さ。
私がこの映画に求めていたものは、まさしく“これ”である。『Love Letter』の酒井美紀、柏原崇を彷彿とさせる神々しさ。あどけない、無垢で残酷な時代を切り取った、触れてはいけない眩しさ。
作中、ずっと森七菜と松たか子の登場が待ち遠しかった。
「売れる映画」が「良質な映画」とは限らない
『ラストレター』が売れる映画かと問われれば、正直分からない。
売れないよりはいいだろうけれど、最近は入場特典などもあるから、「興行収入=いい映画」の図式は信じられない。
本作だって、岩井俊二作品と聞いただけで、条件反射で観に行く層は結構多いはずだ。本作をキャスト目当てで行く層がどれほどかも分からないし、正直口コミで客数が伸びる作品かと問われても測りかねる。そして、「いい映画か」と問われても、正直私には答えかねる。
SNSの声を拾っていけば、絶賛している人もいるし、ひどい言葉を連ねている人もいる。人を選ぶ映画ではあるのだろう。
じゃあ、私は？
観終わった後にガッカリというよりも、悲しみという感情が勝っていた。大好きな映画のタイトルが匂う作品。『Love Letter』が意識されていたシーンはたくさんあった。
葬式のシーンで始まる冒頭もそうだし、図書館のシーンも、裕里が図書館で手紙を書くシーンなんてまさしく、といった感じ。正直、豊川悦治と中山美穂の登場には、テンションが上がった。あの二人は、なんだかんだレジェンドである。どんな役でも、きちんと映画のなかに溶け込んでいた。
でも、私が観たかったのはこれじゃないと、強く思ってしまった。作中、なじみ深いシーンが見えるたびに、これが好きだろ？ 望んでたんだろ？ というような、押しつけをされているような気分になった。売れるものは、確かに平均値を満たしていることが多い。それでも、イコール“良質”というわけではないと思う。
監督の思惑も本音も、ただの消費者である私が推測することすらおこがましいと思っているが、これでは邪推をしてくれと言われているようなもの。そんな作品に思えてならなかった。
こんな女の子いる？ と思わせられることもあるけれど、それが岩井俊二が描くものなら、それでいい。岩井俊二監督が見つけ出す少年少女は、何にも染まらないような、そんな光が感じられる。うらやましくて、懐かしい匂いがする。
岩井俊二作品に望むものは、人それぞれだ。私は、「穏やかすぎる理想」も、「残酷すぎる現実」も、監督だけが見えている世界で描いてほしいと思っている。誰がどう見ても、岩井作品だと分かる、あの映像で。
何にも侵されない、監督自身の色で描かれてほしい。
『ラストレター』は、色が混在していた。胸のどこかに引っかかるような、小さなささくれが少しずつ開いていくような、そんな不自然さがあった。
有名な俳優が起用されているから、いい作品ではない。有名だから、いい俳優ではない。そんなことを、改めて思い知らせてくれる作品だった。
次回作には、よどみない岩井作品らしさを求める。
※2020.1.18 Filmarksで公開、2022.6.19編集
無事に沼入り！『2gether THE MOVIE』観てきた
この世のピュアを取り戻した気がする!!!
2020年からなにかと話題になっていた、タイBLドラマの劇場版『2gether THE MOVIE』を観てきた。
周りにもタイ沼入りしている人がいたから「めちゃくちゃ顔のよさを楽しめて、容赦なく胸きゅんさせてくるBLドラマがある」ということだけは知っていた。なんなら、SNSだけはフォローしてた。毎日の癒しだった。だって、ビジュがとても輝いていらっしゃるから……。
映画化が決まった時点で、「絶対に観に行きたい！ 」という気持ちにはなるくらいには気に入っていて、ドラマも1話だけは視聴済み。しかし、それは二人の出会いのさわり部分のみなのだ。私はこの物語の真髄に触れてはいなかったのである。
はあ～～～この胸キュンにもっと早く触れていれば……!! と思わなくもないが、昨年の今頃は必死に韓国ドラマを追っていたので仕方ない。そこまでのキャパがなかったのだ。
ということで、ほぼドラマは未視聴での劇場版。話が分かるかなぁ……と少し不安もあったのですが。杞憂でしたね！ とにっかく出演者みんな顔がいいし、本当にきゅんきゅんする。小3のときに初めてちゃおを買った以来のときめきだった。キスシーンにドキドキして「こんなシーン見ていいの!? 」って思った自分に戻った。幼児退行した。
そこそこ年を重ねてきて、ギターの弾き方を教えるために指が重なるシーンで胸がぎゅん！ ってなることある？ あるんだよ!!! ぴゅあぴゅあな私が戻ってきました～～！！
プリッツゲーム（？）見て、キャーー!!! ってなったのも初めてかもしれない……。エ、エロい！とかじゃなく、え……？え!? みたいな……。衝撃なんですよ。からかえないくらいに、ドキドキして照れてしまった。タインはもちろんドキドキしたと思うけれど、私の心臓も破裂しそうだったよ！
こ、こんなものを見せていただいてよいんですか？ え、大丈夫？？と心配しながらずっとドキドキしてた。鑑賞料金間違ってない？本当に大丈夫？？？
冒頭から、こんなの絶対にタインのことワットは好きじゃん!!!（嗚咽）と泣き叫びたい気持ちでいっぱいだったんだけど、映画館だから我慢した。というか、絶対好きじゃん!!!! って思ってたら、本当に最初から好きじゃん……。無邪気に友だちに「俺が好きなやつなんだ！ 」って報告するサラワット天使すぎない……。鬱陶しいみたいな顔しつつ、優しいよねとか思ってたらさぁ！
やめろ！！そういうの大好きだ！！！
サラワットの好きだからこその行動がありすぎて、タイン気づこう!? と思えるほど不憫に思えてしまった。二人の恋をサポートしつつ、サラワットに失恋する女キャラポジに生まれたい人生だった。
サラワットのキャラクターが完璧な溺愛系彼氏（不愛想・付き合った瞬間でれでれ）すぎて、もう……好きがとまらねぇ～～～！ 見てからずっと思い出してニヤニヤしてるんだよ、私！ ねえ、どうしてくれるの!!!（好き）
周りのキャラクターたちもみんないい子たちだし、当て馬のオラオラ感においおいおい!! サラタイを見守る壁としては許せねえぞ!? みたいな気持ちにもなったんだけど、結局ハッピーな気持ちになれたし、ちゃんと二人の愛が深まってたからもういいよ……。サラワットやさしすぎるから、本当……。
「もうまどろっこしいから、俺の恋人になれ」っていう言葉は頑張ったタインを見て出てきた言葉だもんね、そうだよね。知ってる。最高のセリフも勢いにまかせたキスシーンも、当て馬によって生まれたと考えればもういいよ、許すよ……。
卒業式のシーンは、その後の二人のシーンも含めてかわいすぎて泣きました。
愛しすぎないか……？ ここが天国ですか……？ 死ぬ前に私が見たい夢を見せてくれてるの？ ってぐらいに愛に満ちた映像だった。
サラワットが卒業式で歌う歌の歌詞とか最高……あの曲以外に、もうぴったりの曲ないんじゃないってくらいにしっくりきた。しかもめちゃくちゃ幸せそうに歌うじゃん。なんであんなに「俺は幸せだよ～お前が好きだよ～満たされてるよ～」って顔してくれるの？ 天使？ サラワットは天使だったの??? スパダリじゃなかったの???
観終わった瞬間から、もう一回劇場に突撃したいくらいに幸せな時間だった。なんなら、記憶を消してもう一度二人の恋を見つめていたいくらい。記憶改ざん装置の開発を早急に頼みます。
夢豚の感情と壁になりたい腐り精神が非常に喧嘩していて情緒が揺れまくっているけれど、夢豚的にもサラワットとタインの恋を応援したいことは間違いないので、やっぱりタイの壁に転生するしかないと思っている。
たくさんの幸せをありがとう～～（号泣）
満を持して、サラタイの幸せのおすそ分けを噛みしめながらこれからの人生を生きるね!!!!!!
とにかく、幸せな時間でした!!!!!!
※2021.6.9 Filmaeksで公開、20226.19編集
6/11-6/18
n回目のブログをスタートしてみる。
映画の感想を書く場所はあるけど、大好きなアイドルの話を書く場所はなかったし、インスタだと長すぎるキャプションはうざったいだけだし。
でも、やっぱり話したいな～という欲はあるから、そんな欲求を解消するための場所として。
ほどほどに、自分が楽しむためだけにやってみる。続けられるといいなぁ……。
読書・映画
本
『恋の歌』大岡信→10％
歌の歴史から、日本で多く恋の歌が生まれた理由と代表的な恋歌の紹介。
『篁物語』→60％
『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』ジェフリー・ユージェニデス 著/ 佐々田 雅子 訳（ハヤカワepi文庫）→20%
『古文の読解』小西 甚一 著（ちくま学芸文庫）→70%
『町へ出よ、キスをしよう』鷺沢萠（新潮文庫）→70％
『少年たちの終わらない夏』鷺沢萠（河出文庫）
『天使も夢みるローソク夜』陸奥A子（集英社文庫）
『粉雪ポルカ（陸奥A子自選集）』陸奥A子（集英社文庫）
『薔薇とばらの日々（陸奥A子自選集）』陸奥A子（集英社文庫）
『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』阿佐ヶ谷姉妹 著（幻冬舎文庫）
『ミステリと言う勿れ』田村由美 ①～④ ⑨～⑩
『チャンネルはそのまま！』佐々木倫子 ①②
『昨日、なに食べた？』⑨～⑲
『魔道祖師』①②③④ 墨香銅臭 著/鄭穎馨 訳
映画
『クリーチャーズ 宇宙から来た食人族』
映画としてのクオリティとかは想定内だったので、特に言及はしないが……とにかく間延びしまくってて、途中眠くなるシーンも多かった。
伏線回収下手かよとは思うけど、見終わったあとに話が尽きなかったことを考えれば楽しめる映画であることは間違いない。
ドラマ
視聴中
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- SKAM FRANCE（～4話）
- Bad Baddys（～11話）
- 恋するイエカツ（～1話）
- 陳情令（～1話）
- マスターオブスキル（～25話）
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- だから俺はアンチと結婚した（～6話）
- それでも僕らは走り続ける（～10話）
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🏃完走済👟
結婚白書
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ハイバイ、ママ！
HEART STOPPER
TharnType2 －7Years of Love－
二十五、二十一
サウンドトラック#1
偶然見つけたハル
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社内お見合い
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ロキ
39歳
ブリジャートン家（s1、s2）
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PRINCE OF LEGEND
刑務所のルールブック
僕の姉ちゃん
美しい彼
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