イノセントさにやられた『20世紀のキミ』

あの頃の私たち

 学生時代をよいものとして思い出せるかというと、「否」な人間だ。だから、私はいつまでたってもティーンムービーを見るとときめいて、懐かしいなぁと眩しい気持ちになってしまうのかもしれない。白いシャツに雑多な教室、ちょっとほこりっぽくて誰かの気配を感じる教室。毎日通うのが嫌だったはずなのに、10代を過ごしたあの場所を特別な場所だと私たちは遺伝子に刷り込まれている気がする。

 裏表がなく、ハツラツとしたボラ。海外で心臓の手術をする友人のためにひと肌脱ごうと、友人の憧れの人の友人と仲良くなるけれど……という“あるあるストーリー”。結局自分の好きな人が、友人の好きな人で「どうしよう? 」と悩んじゃうし、譲ろうとする浅はかさがいい。結局自分の気持ちしか分からないし、それが最適解かは出してみないことには進まないのにね。大人だとこうも純真にはいかないんだろうなぁと、無駄に年を重ねてるだけに思ってしまった。もっと打算的になっちゃうよねぇ。

視線がすべて

 私は何度も言っていきたいんだけれど、「目」がとにかく好き。恋愛映画やらドラマやら、そういうもので欲してるのは「好きだ」という熱情を含んだあの目だ。ということで、今回もピョン・ウソクの「好きだ」の熱量にやられてしまった。どうして韓国の俳優って、こんなにも「好きだなぁ」って表情ができるんだろう。輝きで目がくらみそうになっちゃうんだよ。まんまと好きになっちゃうから、本当に勘弁してほしい。
 特別なことじゃなくても、好きなアイスを食べてるだけで隣に好きな人がいるだけで“特別”が彩られていく感じがすごく好きだった。ドギマギしちゃって、期待して、臆病になって……それでも隣に居たいと願っちゃうんだよな。

 あとはキャストのハマり具合もよかった! キム・ユジョンって本当にいつまでも女子高生みたいな役できるなというのはさておき、やっぱりノ・ユンソの可愛さよね……。「私たちのブルース」みたいなツンツン女子高生もすごくよかったけど、きゃぴきゃぴ等身大の女子高生もすごくはまってた。この子のためになら、なんでもやってやる! みたいな気持ちになるのはすごくわかってしまう……。

 お互いのことを思いあう、「恋」と「友情」が描かれていたのもよかったな。最後は思い切り頭を殴られたみたいで、死ぬほど泣いちゃったけど。あと、ハン・ヒョジュのたたずまい、本当に好きすぎてぶっ刺さるから……。